【マニアック】野口晴哉『体癖』とおもしろ整体の体癖論の違い

野口晴哉『体癖』 体癖

私は「気の方向」を観ることで体癖診断を行っています。

体癖論は未完なので諸説ありますが、私が体癖を観る上でのルールです

  • 誰でも3つの組み合わせ
  • 1種から10種までの10種類
  • 同じ型の2つは混ざらない(例えば左右型の3種と4種は混ざらない)
  • すべて奇数体癖、すべて偶数体癖になることはない
  • 両親から受け継ぎ、生涯変わらない

これらは体癖のバイブルとも言える、野口晴哉著『体癖』には書かれていないことなので、よくご質問をいただきます。

主に先生から教わったことですが、結構マニアックな内容で、自分のものしか観察できていない点もあり記事にはしていなかったのですが、解かる範囲・書ける範囲で説明してみました。

仮説ではありますが、体癖研究の奥深さをお伝えする内容となっています。

体癖マニアの方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。

複合体癖の難しさ

体癖はよく難しいとか、分からないと言われます。

これは熟練の先生や、長年野口整体をお勉強されてる方も同様で、はっきりと自分や他の人の体癖が分かる方はまずいないのではないでしょうか?

その理由の一つが、複合体癖による難しさだと思います。

反対要素を持つ体癖が混ざると、それぞれの特徴を打ち消し合うなどセオリー通りにいかないことも多いですし、見た目や性格だけで判断するのはなかなか大変です。

晴哉先生は「体癖は原色のようなもの」と表現されていますが、その混ざり具合によって様々な彩りの個性が表れます。

体を観察していくと、体癖は3つの組み合わせであることが分かり、その3つが波によって絡み合い、その人の個性を成しています。

おもしろ整体ではこの観察をもとに体癖診断を行っています。

その他、晴哉先生の『体癖』には書かれてないことや異なる解釈をご説明していきます。

体癖は3つの組み合わせである

晴哉先生は誰でも2~3つ混ざると仰っていますが( 『体運動の構造1』、『体癖』にも書いてあるかもしれませんが見つかりませんでした)、私の先生は誰でも3つと考えて研究していらっしゃいます。

体癖の観方を教わって以来、たくさんの方を観てきましたが、皆さんきちんと3つ揃っていますので、私も先生の説を支持しています。

先生は3つの順番に関して、表(体の感受性)-裏(心の感受性)-3つ目(潜在意識の感受性)としていましたが、私はそんなにはっきり体、心、潜在意識とは感じず、どうしてそう仰るのかは分かりませんでした。
個人的な実感としては、3つの体癖が顔や体、心にも潜在意識にも混ざっているけど、その濃さや浮き上がりは波や状況、相手との関係性等によって変わってくる、または使い分けてるという感じがしています。

集中して仕事する時は9種だけど、人と接する時は4種や6種で対応するとか、恋愛では4種が強く出るとか、、

体癖の波

確かに表面的には「今○種っぽい!」とか「今は○種のマネしてる」のように、その場その場で変わっているように見える曖昧な面もあります。

ただそれは意識的に作っていたり、表面的に見えている、または一時的に変動しているだけで、本来の体癖が変わっているわけではありません。

体の癖としての本来の体癖は、意外とシステマティックなものなのかもしれません。

診断方法として、気の方向で観る以外では、背骨で観る方法もありますが、表は胸椎部に、裏は腰椎部に、3つ目は頚椎部に表れます。

また例えば私なら9種4種6種ですが、9種と4種は誕生日の曜日毎に毎週入れ替わっていて、6種は4週に一日だけ表に出てきます。

整体(整った体)であれば、この波の移り変わりが自然と起こっていますが、スムーズにいってない場合、整体操法(施術)や活元運動愉気で本来の波に戻ります。

私は自分のものしか観察したことがないのですが、先生はこれを元に操法を行っていました。

4週の波(高潮2週+低潮2週)が多いけど、まれに高潮4週、低潮1週の人もいるそうです。(うろ覚え)

体(背骨や気)で調べれば観察できますが、「あ、今4種が表に出てるー」とか感覚的に分かるような感じではありません。

ちなみに2つ以下になるのは、妊娠中と亡くなる前だけだそうです。

妊娠中は誰でも10種-7種の2つになります。骨盤の開傾向と腎臓=排泄の働きを増すのでしょうか。3つ目は赤ちゃんに?不思議ですね。

亡くなる前は2つ→1つになって亡くなるそうですが、私は観たことがありません。

*オンラインの体癖診断での順番は目安と考えて下さい。写真で入れ替わりなどが分かるのかは研究中です。できれば違う時期に撮った写真を送って下されば助かります。

同じ型の2つは混ざらない

同じ型の2つは混ざらない(例えば左右型の3種と4種は混ざらない)というのは、観察していくとそうなってる、としか言えないのですが、本来のものは同時に2つ混ざらない、という意味で、3種が4種的になったり、10種が9種っぽく見えたり、ということはよくあります。

誰でも調子がいい時は奇数体癖のように感じるし、調子が悪い時は偶数体癖のように感じる場合も多いです。

また見た目や感受性で推測する場合は、同型のどちらか見分けがつきにくい人も多いです。(特に複合体癖によって分かりにくい組み合わせなどもあります。例えば3種が混ざっていれば6種も5種っぽく見えたり、2種でも7種が混ざっていれば1種っぽかったり。。)

とはいえ、やはりどんなに調子が良かろうと悪かろうと、気の方向を観ればその時の本来の体癖が観察されるので、調子が悪いからと言って、一時的に3種が4種になったりしているわけではないようです。飽くまで4種っぽくなっている、とか4種的になっているということですね。(本来の波自体がズレている場合もありますが)

また後述しますが、季節の変動などで同型の入れ替わりが起こることもあるようです。

マニアックに言えばって話なんで、別に自覚として「今4種だ!」って思ってても何の問題もないんですけどね。厳密に観る必要があるのは、整体に体癖を使う場合くらいかもしれません。

すべて奇数体癖、すべて偶数体癖になることはない

これもなぜかは分かりませんが、そうなってる人しか観たことがないので、ほぼ確信しています。

常に発散してばかりの人や集注してばかりの人はいないということですね。

ただ開閉型だけは、9種は集注方向に発散し、10種は集注が漏れて発散していくという特殊な特徴からか、9種は奇数体癖であっても内向的に、10種は偶数体癖であっても外向的に見えることがあります。

特に偶数体癖2つ+9種の組み合わせ、奇数体癖2つ+10種の場合、そういう傾向が強くなるような印象があります。

両親から受け継ぎ、生涯変わらない

これも本には書いてないですが、体癖は生まれ持ったもので、両親から受け継いでおり、生涯変わらない、と考えています。

「生まれ持ったもの」「生涯」という意味は、今のところどの時期の写真を観ても基本的に一定なので、生涯を通して一定なのだろうという推論です。(先生は実際に何世代かに渡り、たくさんのご家族を観ていらっしゃるので、そのご経験から得られた仮説だと思います)

ただ私自身は確信を持って断言できるほど観たわけではないので、今後の研究課題です。

*体癖診断をご希望の方は、赤ちゃんや子供の頃のお写真もあれば送っていただけますとありがたいです。また「両親から受け継いでいる」ことも確かめたいので、ご両親やお子様の体癖も併せて診断させていただけますと嬉しいです。

体癖は変動する、でも本来の3つは変わらない

成長の過程や、環境により本来のものとは違う体癖が出ることもあるのかもしれませんが、飽くまで一時的なものと考えています。

例えば2種のない人が「こうすべき」ということばかりに縛られていると、2種的な感受性が身につくことがありますが、それは本来の「体癖」ではありません。

意識的に「○種的」になっていても体まで○種になっているとは限りませんが、長い間そういうことが続いたりして、実際に本来の体癖からズレていると、生き辛さを感じるかもしれません。

体癖はしばしば変動しています。

頭をよく使った後は上下的になっていたり、冷えたりゴルフで疲れるとねじれ的になったり。

こういう偏り疲労も通常は寝相や風邪で自然と調整されますが、体が鈍感だと自然に修正されないので、活元運動愉気、操法で修正を手伝います。本来のものからズレていると、本人は「調子が悪い」と感じるようです。

ズレている時は実際に気の集まる背骨が変わっていますが、この時に写真を撮っても気の方向がズレているわけではない気がします(でも妊婦さんは写真でも分かるような)。これも今後の研究課題で、今の所はっきり分かりません。ただ人によって、写真で読みやすい方もいれば、読みにくい方もいらっしゃるので、もしかすると何か関係があるのかもしれません。

季節の変動

体は季節によって変動しています。

季節の変動に関しても写真ではよく分からず、あまり観察したことがないので、はっきりとは言えませんが、

冬は引き締まって熱を逃がしにくく、逆に夏は拡がって熱を発散しやすい体になっています。

この変化のため、体癖も立春から春分まではだれでも一時的に発散傾向(奇数体癖及び10種:エネルギーの流れが内→外、例えば9種4種6種なら10種3種5種)になり、逆に立秋から秋分までは集注傾向(偶数体癖及び9種:エネルギーの流れが外→内、例えば10種7種5種の人なら9種8種4種、9種4種6種ならそのまま)になるようです。(年によって二十四節気から数日ずれるそうです)

性格も春は外交的・社交的(出会いの春)になりますし、秋は内省的(読書の秋)になります。

体が鈍っていると体癖の転換が起こらない=季節の波に乗れず、いつまでも前の季節の体を引きずって、季節に順応できないので調子が悪く感じます。夏になっても冬の体のままでは、熱を発散できず暑いですよね。季節の変わり目に風邪を引いたり、花粉症になったりするのは、この調整とも考えられるのではないでしょうか。

*開閉9種・10種がない場合は(例:3種8種2種)、春は奇数体癖 のみ (3種7種1種)、秋は偶数体癖のみ(4種8種2種)になってる気がするのですが、ちょっとまだよく分からず研究中です。

体癖は10種類?12種類?

『体癖』には1種から10種までの基本的な10種類に加えて、過敏の11種と鈍りの12種を合わせた12種類の体癖が規定されています。

絶えず変動がある11種と全く変動がない12種で、そういう状態を生まれながらに持っている、と書かれていますが、

これまで3つの体癖が揃っていない人やそれが観るたびに違う人は会ったことがないのですが、 11種はすぐにズレてしまって、しょっちゅう変動がある人、12種は本来の変動(波)すらスムーズに起こりにくい人なのかな、と仮説を立てています。どうして「生まれながら」そうなるのかは分かりませんが。。

今の所、私は11種と12種に関しては、ないものと見做して診断を行っています。

死ぬ時は2つ→1つになって亡くなる?

体癖は写真だけでなく、その人が作ったもの、描いたものなどから観ることも可能ですが、先生は一人の画家の絵をずっと観ていった時、死の一年くらい前から2つになり、1つになり亡くなる、と仰っていたような気がします(うろ覚え)。

私はそれは自然死の場合かな、と思っています。

というのも、特攻隊の遺書などを観るときちんと3つ揃っているからです。知覧の特攻平和会館でたくさん観ましたが、7種と9種と4種の組み合わせばかりだったのが印象的でした。7種の武勇+9種の玉砕+4種の感情抑圧という性質ゆえに選ばれたのか、その時、隊に流れていた雰囲気で一時的にそうなったのかはよく分かりません。

あまりオカルト要素を持ち込みたくはないのですが、だから死ぬべきでない時に死んだ人の霊は地上に残りやすいのかな、なんて考えてしまいました。

科学では説明がつかないことってありますよね。一体自分は何を観てるんだろうってよく思います。共通感覚で語れる人増えるといいな。。

検証

野口整体にはたぶん伝統的に「信じるな、確かめろ」という不文律があり、晴哉先生を含め、他の先生の言うことも鵜呑みにせず、自分で調べて確かめることを大切にします。

確かめられる感性を磨くため、自分の体を整え、訓練をします。

気の方向での観方

「気の方向」での観方に客観性はないので一般的な意味での「検証」にはなりませんが、まずはたくさんの方を観て、先生に教わった仮説を自分なりに確かめたいと思っています。

なかなか「気」などと言うと受け入れられませんし「言ったもん勝ちだろう」と思われる方も多いと思いますが、疑う方はご自身で身につけて確かめて下さいとしか言えません。

同じように観れる人が増えれば、答え合わせができるかもしれません。

私は、体癖は愉気の応用ではないかと思っています。愉気の「感応」と呼ばれる感覚が分かれば、体癖を気の方向で観られるはずです。

愉気ができなければ方法をお伝えしてもさっぱり分からないと思いますので、身につけたい方は愉気や合掌行気の練習をして感覚を磨いておいてくださいね!

体量配分計

晴哉先生は体癖は重心にも表れることから、「体量配分計」という体重計のような、重心を測れる機械をお作りになりました。これなら客観性もありますし、科学的な研究もできますね。

気の方向や背骨で観た体癖が、体量配分計とどこまで相関するのかは分かりませんが、いつか復刻して研究が進めばいいな、と思っています。

私は何度か測ったことがあるくらいで、全く詳しくないのですが、情報を集めています。

以前は学会発表なども行っていたようなのですが、最近は熱心に研究している先生も知りません。

何かお分かりのことがある方はお知らせいただけますと幸いです。

追記:早速情報をいただきました!ありがとうございます。

まとめ

古典的な体癖論とおもしろ整体の体癖論の違いをご説明しました。

以下は10年間大勢の方を観てきた中でほぼ確信を持っています。

  • 体癖は3つの組み合わせである
  • 同じ型の2つは混ざらない
  • すべて奇数体癖、すべて偶数体癖になることはない

こちらに関してはまだ断言できるほどではないので、今後確かめていきたいです。

  • 両親から受け継ぎ、生涯変わらない
  • 体癖は変動する、でも本来の3つは変わらない
  • 体癖は1種から10種までの10種類

「体癖とはなにか?」を考えるきっかけになれば幸いです

*「先生」は晴哉先生の直弟子であった整体協会の先生ですが、上記の説は整体協会でもコンセンサスが得られているわけではないようです。検証が行われ、研究成果が公開されることを願っております。

コメント

  1. Kanade様、いつもお世話になっております。
    動画の件お役に立てたようでわたしも嬉しいです(^^)

    さて、実は体量配分計に関してですが、
    似ている製品を見つけましたのでリンク貼ってみようと思います。

    NITTA 足圧分布測定システム フットビューSAM
    https://www.nitta.co.jp/product/sensor/foot_view_series/

    この製品は、わたしが顎関節症の治療で歯医者さんに行ったとき、
    歯の噛み合わせのチェックのために使わせてもらったことをきっかけに知ったのですが、
    (あれ? なんか野口整体で言うところの体量配分計っぽいな?)
    と思ったのでKanade様にもご報告してみる次第です。

    また、体癖の考え方、特に「気」についてもKanade様と同意見です。
    わたしは経絡の先生に師事しているのですが
    中医学も野口整体と同じで「気」の存在を重要視しています。
    というよりそればっかりです笑

    思うに西洋医学では「気」の存在を完全に無視しているような気がします。
    例えば解剖学では胃潰瘍は胃の細胞が壊れていることが原因、と考えますが、
    実際には借金が返せないことが原因で、後々借金を返し終わったら治った、
    なんてことがあるのは実感としてもわかりやすいかと思いますが、
    こういった事例は解剖学では説明できません。
    それこそ「気のせい」です笑

    そもそも解剖学というのは「死体の研究」から始まった学問であり、
    それを実際の「生きている人間」にあてはめて目の前の患者さんをわかった気になるのは、
    わたしのような中医学を勉強している人間からすると少し乱暴な考え方のように思います。

    確かに世界大戦後、人口が爆発的に増えたので、解剖学という「法則」を元に
    たくさんの患者さんを診る必要に迫られたのは理解できますが、
    「法則」はあくまで共通項にすぎず、実際に診る患者さんひとりひとりは
    「全く別の人間」であることを近代医療は忘れてしまっているような気がします。

    生きている人間はもっと複雑です。

    西洋医学を否定するつもりはないですが、「気」という
    目には見えない働きに対するアプローチが欠けている以上、
    個人的にはどうしても片手落ちだと感じてしまいます。

    少し話が逸れましたが、わたしも「気」の存在を信じている立場の人間として
    体癖の考え方はとてもおもしろいな、と思っています。

    例えば科学の分野でもニュートン力学では説明できなかったことが
    量子力学だと説明できる、といったことがあるように、
    将来的には「気」という目には見えない働きに関しても
    科学的に説明できるようになることで、体癖の考え方がもっとメジャーになれば、
    より多くの人の健康に役立つのではないかなと思います。

    • おぉー、いつも有益な情報ありがとうございます!!
      記事にしてみました。
      確かに代用できますよね!私もインソールを作った時に測ったことがあるのですが、全然気付きませんでした~笑

      中医学もそうなんですね、あまり詳しくないのですが、経絡ですもんね。

      西洋医学、解剖学に関しては、全く同意見です。

      保険制度であれだけ優遇されてる西洋医学があってもなお、薬事法で迫害されている東洋医学や民間療法がたくさんあるのは、やはりどちらも大切ってことですよね。
      なんとかいい形で統合医療が確立されるといいんですけど、、

      気の働きが解明されるのは楽しみですね~
      差し当たって体癖は体量配分計で研究できるので、試みていきたいです!

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