風邪や不調、自分でなんとかしたいと思いませんか?
このページでは、野口整体で基本になっている入浴、足湯・脚湯、蒸しタオルのやり方を説明しています。
風邪の時はもちろん、ちょっと不調のある時など試してみると案外それだけで解消することも多いです。こんなに気持ちよく簡単な方法なのに、続けていくと長年の不調が改善されることも?
足湯や目の温湿布などは一般にも普及しているようですが、やり方次第で効果が全然違います。どうせならただ温めるだけでなく、温める意味を知って、体を整える方法として活用しましょう。
私なりのコツも書いてみましたが、感じ方は人それぞれなので、ご自身の体をよく観察して工夫すると面白いと思います。
野口整体で「温める」という意味
整体法として「温める」ことを使う場合、単に冷えているから温かくするという意味ではありません。
体の「弛み」と「緊まり」が全身スムーズに行われているのが健康な状態で、偏って疲れている部分=「偏り疲労」があると、その部分の伸び縮みの幅が小さくなります。
この閊えの調整として風邪を引き、風邪を引くと弛みと緊まりが回復して弾力を取り戻すことから、「風邪は自然の整体法」と捉えられています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
野口整体では、「弛み」と「緊まり」 の誘導が操法(施術)をはじめとした整体法の基本になっていますが、熱刺激によってもこれが誘導できます。
熱の刺激は片側余分に行いますが、これは偏り疲労の調整のためで、アンバランスに行うことによって、もとのアンバランスを調整しています。両側均等に行うと刺激にならなくなるので注意しましょう。
また満足するまで温めてしまうと、体がたるんでしまって「自分で熱を作らなくてもいいのかー」と怠けてしまいます。「もうちょっと」というところ、引き締まって、自分の力を発揮できる状態でやめるのが肝心です。親切にしすぎて依存させるのではなく、体に熱という活を入れて、自分の力を思い出させる、という感じ。
入浴を始めとした「温める」方法では「弛み」と「緊まり」を体感しやすいです。
ぜひご興味を持ってやってみて下さい。
入浴・お風呂の入り方
入浴を体を洗うためだけに使うのはもったいない。
色々な入り方がありますが、体を「引き締める」入り方が基本です。風邪を引いた時も上手に入浴すると経過が早いので、覚えておくと便利です。
適温(気持ちよく感じる温度)は人によって異なりますが、普通は42~43℃くらい。子供や若い人は敏感なのでもっと低いし、歳をとったり疲れている時、飲みすぎた時など体が鈍くなってる場合はもっと高くなります。
適温で入ると全身が赤くなるのですが、赤くならない場合は温度が低かったということですから、自分のその時の適温で入るのが重要です。
また他は赤くなる、片側は赤くなるのに一部白いままのところがあればその部分が鈍っているということです。
晴哉先生は、この引き締まりとゆるみを内ももの弾力でみると言ってますが、私は呼吸(お腹)でみた方が分かりやすいです。どちらにしろ観察すれば波があるのは分かるはずです。温度が低いとよく分かりません。
2回めに引き締まった後も、そのまま入っていると、あとはゆるむ一方でたるんでしまうので引き締まった時に上がるのが大事。
呼吸を数えながら入ると呼吸を通して体に集中しやすいので、緩みと引き締まりを意識しやすいで気がします。熱の刺激でどのように体が反応するのか観察してみて下さい。普通の入浴から考えるとかなり短時間かもしれませんが、これ以上入るとダラダラ無駄に汗をかいて、ぐったりします。
物であれば、温めるだけ温まりますが、人間は温めすぎるとその後冷えやすくなるので注意しましょう。
この呼吸については私のやり方で、晴哉さんは特に言及してないので分かりませんが、漫然と入っていた時より調子がいいです。どこかに弛み緊まりが他より遅い部分があるので、そこに行気する(気を集める)といいかもしれません。まだまだ研究中なので、参考程度に。
*大きく息が吸えた時に「ウーム」と飲み込んで終えるのは、活元運動を終える時の要領と同じです。一つできると全部できるので、練習してみて下さい。
追加で片足入れる時も、緊まり→弛み→緊まって大きく吸えたら「ウーム」 と下っ腹に飲み込んで上がります。普段はそれほど色の差はないと思いますが、足の甲の3指と4指の間など、気になるところに愉気してみて、気が通らない足を余分に入れるといいかもしれません。それほど差がない場合は1~2℃も温度を上げる必要はないし、2分もかかりません。時間や温度は目安なので、ご自身の感覚を大切にして下さい。
足が片側赤くならないのは、意識していなくても偏り疲労状態、つまり風邪を引くべき状態です。この入浴法をやっておくと無駄に風邪を引かないし、ひき始めに行えばこれだけで風邪が抜けることも。
風邪の時にいきなりやるのは難しいので、普段から興味を持ってお風呂に入ると面白いし、風邪の時に慌てないと思います。
寝際に入ると一旦上がった体温が下がる時に下がりすぎて冷えることがあるので、朝風呂がおすすめです。きちっと引き締めると体がシャキっとします。夜入る場合も、寝る数時間前には入っておいた方が安心です。
中毒した時はだんだん温度を上げて入るなど他にも色んな入り方があるので、詳しくは『風邪の効用』を読んでお試しください。
足湯のやり方
体になにか不調がある時は、足湯または脚湯で対応できることが多いです。
足湯は泌尿器の変動がある時に行います。
『風邪の効用』にあるように、かいた汗を冷やして引っ込めてしまったことによる不調(汗の内攻=泌尿器の変動)は思った以上に多いので、喉の風邪(喉は泌尿器の系統)だけでなく、体がだるい、むくむ、脚がつる等の他、 腰痛や生理痛、神経痛など、なにか不調がある時は、とりあえず足湯をしてみるといいかもしれません。
夏クーラーやプールで冷えた時、暑いのに汗をかけない人にもおすすめです。
生理前から生理中毎晩やっておくとスムーズに経過し、生理の調子や普段の体調自体が変わってくる場合も多いです。
冷えている時は足の甲の3指と4指の間の水かきが縮んで押すと痛いので、左右比べて痛い方を押して刺激してから足湯するとより効果的です。(愉気できる人は、気が通りにくい方に愉気します)
両足赤い靴下をはいたみたいになれば成功です。赤みが薄い方が分からなければ、3指と4指の間が縮んでいる側を選びます。終わった時に両方均等になっていることを確かめましょう。冷えがひどい場合は一度や二度では変わりませんが、毎日続けると変わってきます。
温度と時間が肝ですが、温度と時間をみるのではなく、体の変化や呼吸をよく観察します。
入浴と同様、まず引き締まり→緩み→次に引き締まった時がやめ時です。入浴同様、「ウーム」で引き上げます。
私の場合、入浴の適温が42℃くらいですが、44.5℃で足湯した場合7分、45℃の場合4分で緊まりました。最初は難しいので6分測ればいいですが、だいたい両側4分~8分+片側2分前後、全部で10分は超えないようにします(10分以上かかる場合は、温度が低いということ)。追加の2分もやはり引き締まったところで引き上げます。
終わった後、足首をガクガク小刻みに振っておくと、しっかり汗がかけます。
上手く出来ていれば、寝て起きた時に変化があるはず。
何でもいいと思いますが、私はこの足湯バケツを使ってます。
料理用の防水温度計があると便利です。
動画もご参考に!
体が冷えて鈍っている時は、熱く感じる温度が高く、引き締まりと緩みの反応も鈍っていることが分かります。そんな場合はいつもより高い温度、長い時間にするなど、杓子定規に温度や時間を決めるより自分の体の感覚を大切にして下さい。
脚湯のやり方
脚湯は消化器の変動がある時に行います。
中毒や飲みすぎ、下痢、便秘、痔、肩こり、歯の痛み、気が重い、腰痛、胃痛など。
脚湯は深い容器があればいいですが、私は湯船に浅くお湯をはって、膝立ちになって行います。
足湯か脚湯か分からない場合、膝下外側を圧迫して痛い時は脚湯、内側を圧迫して痛い場合は足湯が目安。
蒸しタオル
足湯・脚湯と並んで、「蒸しタオル」も自分でできる整体法として覚えておくと便利です。
本には熱湯で絞ると書いてありますが、チンした方が手軽ですよね。
蒸しタオルは色んな使い方がありますが、現代では眼の温めが重要かと思います。 目にちょうどかかるくらいの大きさに畳んで数分、その後片目 (左右の目に愉気してみて通らない方を選ぶといいですが、分からない人は赤みが薄い方を選ぶ) を追加で数分温めます。入浴と同じ要領で、緊まった時に「ウーム」でやめます。成功すると目がすっきりぱっちり。ダラダラやってもだめ。
目がゆるんでないと骨盤がゆるみにくいので、特に月経中はやっておくといいでしょう。
あとは皮膚の湿疹とか、筋肉痛、怪我などは直接患部に。
私が最近やってるのは、背骨の愉気で手が止まるところ=行気して息が閊えるところ(胸椎部→腰椎部→頚椎部の順で3箇所)で行うと、愉気してもらった時と同じ様につかえがとれて背骨にしっかり気が通るようになります。時間はやはり呼吸でみます。私は何もなしで行気(自分に愉気)すると気が凝りやすいのですが、蒸しタオルを使うと簡単にできるので最近ハマってます。
色々使えますので、気持ちの良いところでお試し下さい。愉気してほしい処、手が止まるところ、気が通りにくい処を選ぶといいですが、愉気同様あっちもこっちもやると体が混乱するので、できるだけ必要な処をピンポイントで行います。
以下は『風邪の効用』に書いてあった使い方です。
あしの冷えとともに、首の冷えも体に変動を起こしやすく、首の寝違え、胸や背中、腰の痛み、息苦しい、喘息や貧血、めまい、熱を繰り返す、精神不安定、むくみ、胃酸過多、なども首が冷えて硬直したために起こる場合が多いそうです。
特に秋口の過敏な症状は首の冷えからきていることが多いようなので、とりあえずやってみて変化をみたらいいかも?
首の冷えには、硬くなってる方の首(胸鎖乳突筋)を4~8分温めます。
11月半ばを過ぎたら、首と合わせて頸上(盆の窪)を温めます。
また高熱が出た時はタオルをできるだけ小さく畳んで後頭部を40分間温めます。(途中冷めてきたら自分で温め直す)
熱が出切っていなければ一旦上がって下がるし、出切っていれば、サッと下がります。後頭部には体温の調節中枢があるので、そういう急処を冷やすと鈍くなって、熱の上がり下がりの幅が狭くなってたるんでしまうそうです。
熱はきちっと出すべき時に出せるのが弾力のある体
高熱を怖がって下げようとする人がいますが、不安で体が緩まないと経過を乱します。看病する人の不安も伝わりますから、気を付けましょう。熱が下がる方法を知っていれば安心して見ていられますね。 私は子供の頃に経験がありますが、氷枕などで頭を冷やしても熱が下がらないばかりか、経過を乱して長引きます。
40℃を超える高熱の場合は、鼻を6~8分温めると、高すぎる熱がスパッと変わるそうです。後頭部を打撲した時も鼻を温めると鼻血が出て、ご破算になるらしい。(整体では後頭部の打撲を警戒しますが、鼻血が出ればとりあえず安心という意味)
怖い場合は、一息四脈といって、一回の呼吸に対して4回脈を打っていれば熱に限らず、どんな状態でも正常な経過と言われているので、日頃から診ておくといいかもしれません。
*もちろん不安がある場合は、過信せずに病院に行きましょう
その他、大脳の疲れにはアキレス腱の蒸しタオル、発想が乏しくなった時には肘湯など、色々な温め方が紹介されているので詳しくは『風邪の効用』を読んでください。
注意点
整体では機・度・間が大切と言われています。
温めるのがいいと言ったって、四六時中温めていては、効果がないばかりか体調を乱します。
冷えた時や風邪、生理は温める好機になりますが、長期的な不調の改善なら足湯や蒸しタオルは不調のある間は毎日やってもいいと思います。
温度に気をつけ、だらだらやって度を超すことがないよう、時間を区切ってやりましょう。 またあっちもこっちも脈絡なく一回に温めては、刺激としては弱くなり、どこが変わったか分かりません。必要な処を見極めて必要な分だけ。
体のリズムは大人では8時間、子供は6時間という波がありますから、温める整体法もそのくらいの間を開けると効果的かも?夜寝る前と朝起きた時がちょうど8時間くらいでしょうか。
よく分からんけど、とりあえずやってみるか。。
まとめ
主に『風邪の効用』に書いてある温め方を紹介しましたが、私のコツはまだ研究中なので参考程度にして下さいね。ご自身に合ったやり方を工夫してみて下さい。
熱による刺激は弛みと緊まり、分散と集中という整体法の基本が体感しやすいです。終わった後や次の朝、「一つにまとまった感じ」「下腹部に息が大きく吸えて充実した感じ」があれば成功です。
現代はなにかと冷えやすいので、風邪の時だけでなく、普段から温めることを通して自分の体を整えておきましょう。
活元運動が出ない人も、まずは熱刺激から始めるのがおすすめです。ゆるめるようになると、活元運動も出てくると思います。
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